千本釈迦堂の阿亀(おかめ)桜
2020年03月25日 文責:平野
ついにこの週末、京都でも桜の開花宣言がありました。いよいよ春到来!最近は世の中がなかなか落ち着かず、気持ちも塞ぎがちではありますが、やはり、桜の花を見ると春の訪れに不思議と胸がわくわくするものですね。そこで今回は早咲きの桜を求めて、千本釈迦堂へ阿亀桜を見に行ってきました。
千本釈迦堂は正式には大報恩寺(だいほうおんじ)と言い、今から800年前の鎌倉初期に創建されました。10年も続いた応仁の乱でも奇跡的に戦火をまぬがれた、京洛最古の建造物として、国宝に指定されています。千本釈迦堂という名の由来は諸説あるそうですが、近くに京の南北を走る千本通があること、ご本尊の釈迦如来座像が古来より厚く信仰されていることなどがあるようです。
また、境内には「おかめ塚」があり、その前には「阿亀桜」という名の立派な枝垂れ桜があります。実はこの「おかめ塚」は、ある女性の悲話が由来とのこと。その女性とは、この大報恩寺の本堂建築で棟梁を努めた大工、「長井飛騨守高次」の妻であった「阿亀」。高次が本堂建築中、重要な柱の採寸を間違えて短く切りすぎてしまい、責任ある棟梁として苦悩していました。その時「枡組(ますぐみ)(という技法)で補ってはどうか」と助言して夫の窮地を救ったのが、妻の阿亀だったのです。この助言により高次は無事、工事を成し遂げることができました。しかし、阿亀は「棟梁ともあろう者が(専門家でもない)女の知恵で大仕事を成し得たと言われては夫の恥」と、上棟式を迎える前に自害してしまったそうです。
なんとも悲しいお話しではありますが、夫想いの明るい人柄を今に伝え、夫婦円満、縁結び、子授けの御利益がある全国のおかめ信仰の発祥となっているそうです。
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