東福寺の青もみじ
2019年05月27日 文責:平野
大型連休も終わり、元号も「令和」に改まりました。すでに日差しは厳しく感じられますが、まだ真夏のように湿気を含んでいない、初夏の清々しい風が心地良い季節となりました。梅雨に入るまでの短くも貴重なこの時期を堪能するために、東福寺へ青もみじを見に行ってきました。東福寺と言えば、方丈と開山堂とを結んで架かる、通天橋から見る秋の紅葉が何よりも有名ですが、逆に有名すぎて秋にはその通天橋の上が見物客で埋め尽くされ、立ち止まって写真を撮ることは禁じられるとのこと。しかし今の季節ならば、人も少なく、ゆっくりと美しい景色を堪能することができました。さて、東福寺の創建は古く鎌倉時代。ときの摂政・関白であった九條道家が南都(奈良県)東大寺の「東」と興福寺の「福」の二文字をとり、九條家の菩提寺として造営したものだそうです。開山の師は天皇より初めて国師号を贈られた禅僧、聖一国師であり、京都五山の一つとして750年の歴史があるお寺です。このように紅葉の名所として名高い東福寺ですが、実はかつては桜の名所でした。しかし現在境内には数本の山桜が残るのみで、桜の木はほとんど見られません。それにはこのようなエピソードがあるそうです。かつて東福寺の画僧であった吉山明兆が、今も残る大涅槃図を描いたところ、四代将軍足利義持の目にとまり、褒美を与えられることとなりました。褒美は何が良いか尋ねられた明兆は、「境内に桜の木があると、人がたくさん訪れて花見の場となり、修行の邪魔になる」と答えました。そのため境内の桜は全て義持の命により切り倒されてしまったとのことです。そしてその後に、花の咲かないもみじが植えられたとのこと。でも結局その美しい紅葉を見に大勢の人が訪れることになるわけですが、桜のお花見とは違い、紅葉は愛でるだけでドンチャン騒ぎはしませんので、修行の邪魔にはならないということでしょうか。
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