くじらとイルカ
2014年03月28日 文責:川口
作家の上橋菜穂子さんが,国際アンデルセン賞を
受賞されたというニュースがありました。
児童文学に永続的に寄与された方に贈られる賞で
世界の作家の中から,2年に1度,受賞者を選ぶという
大変栄誉ある賞のようです。
上橋さんは児童文学作家ですが,
自分は(子どもがいないときから)児童文学が好きです。
(といって,多読したわけでもないのですが)
児童文学の面白さのひとつには,
平易なことばで書かれているが故の
受け取り方の広さ,深さにあると思います。
ぐるぐると思考をめぐらせられるところ
とでもいいますか。
大人になってからも
新たな発見があって面白く読めるところも
魅力のように思います。
工藤直子さんという作家の
「ともだちは海のにおい」
という本があります。
ビールと哲学が好きなくじらが
イルカと出会って仲良くなり,
曲芸の練習につきあったり,語り合ったりするなかで,
日々いろんなことを感じ,思いを馳せるという
言ってみれば他愛もないお話です。
ですが,ここでの,くじらとイルカの関係性が良いのです。
お互いにまったく依存していなくて,自由。
実に心地良い距離でつながっています。
一緒の時もあれば,距離をおく時期もあったりして,
(実際に,途中でクジラはパリへ旅立ったりします)
お互いが日々を幸せに暮らしています。
説教くさいかもしれませんが,
常につながっていなくても大丈夫なんだ
と感じることのできる,優しい本だと思います。
昔,工藤さんの授業を受けたことがあるのですが,
「子どもの頃に抱いた感覚」こそが真で
それをいつまでも大切にもち続けてほしい
と(いうようなことを)仰っていたのが印象的です。
自分の子どもは
「(将来)野菜になりたい」とのたまっていますが,
たまには自分が子どものころ何が好きで
何にのめりこんでいたのかなど,
探ってみるのも良いかもしれません。