「新学習指導要領案」
2008年02月18日 文責:羽根
2月15日(金)に文部科学省が「新学習指導要領案」を発表しました。
ゆとり教育を中心とした現行の学習指導要領は見直され、学習内容が増えることになりました。
増えた学習内容
〜 算数 〜
「数と計算」「量と測定」「図形」「数量関係」の4領域に加えて、知識を活用する力を育成
する「算数的活動」を新設しました。
<追加内容>
・整数の乗法(3けた×2けた) ・素数 ・台形の面積 ・図形の合同
・円周率を3.14に ・反比例 ・文字を用いた式 ・トン、アール、ヘクタール
〜 数学 〜
「数と式」「図形」「数量関係」の3領域に加えて、「資料の活用」を新設し、「数量関係」を
「関数」と呼ぶことになりました。また、算数同様、「数学的活動」を新設しました。
<追加内容>
・不等式 ・球の表面積と体積 ・平方根の有理数と無理数
・相似な図形の面積比と体積比 ・2次方程式の解の公式 ・標本調査
〜 理科 〜
選択科目だった「科学技術と人間」と「自然と人間」は、「自然環境の保全と科学技術の
利用」に統合しました。
<追加内容>
小学校 ・月と太陽 ・食物連鎖 ・てこの利用 ・電気の利用 ・人体の臓器
中学校 ・水圧 ・浮力 ・周期表 ・イオン ・進化 ・遺伝の規則性 ・DNA ・ばね
・電力量 ・熱量 ・日本の天気の特徴 ・力の合成と分解 ・水溶液の伝導性
〜 社会 〜
地理15コマ、歴史25コマ、公民15コマ分を増加させたことが一番大きな変化です。
日本地理は細かい都道府県調査を改め、幅広い内容になります。
世界地理は地域別に主題を設けて学びます。歴史は、近現代を「近代」と「現代」に分け、
より詳しい内容になります。他に、宗教の起こりや仮名文字の成立も記載されます。
公民は、裁判員制度、国際社会での文化や多様性についても新しく加わりました。
<追加内容>
小学校 ・都道府県名と位置 ・世界の主な大陸と海洋 ・世界の国の名称と位置
・縄文時代
中学校 ・日本と世界の諸地域 ・仮名文字 ・宗教の起こり ・冷戦締結
〜 外国語 〜
「聞く」「話す」から「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を重点的に学びます。従来は900語
だった単語数を1200語にまで増やし、いろいろな表現ができるように対応します。
小学英語は5年生と6年生で実施予定です。一方で、英語ノートの義務化がなくなり、
学校の特色に合わせた自由な授業ができるようになります。「あいさつ」や「自己紹介」
をする内容が減り、英会話要素の強い授業になってくると予想されます。
教科書表記も変わります。「ちょう戦」や「こっ折」といった書き方を改め、未習漢字をすべ
てルビで対応し、難しい漢字も見慣れるようにする工夫もなされています。
その他の教科に関しても大きく様変わりをすることが決まっており、「脱ゆとり教育」をはっ
きりと表した発表となりました。
2009年度から理科・数学の授業数を増やし、2011年に小学校、2012年に中学校にて指
導要領改定案が実施されます。
この改定案に関しては、賛否両論出ています。「基本学力は大切である」といった肯定的
意見や、「さらに学力格差が出てくるのではないか」といった否定的意見もあるようです。
私の個人の意見としては、改定案は良いと思いますが、指導要領より現場である先生や
保護者の教育も別に必要なのではと感じました。